東京都でおすすめの公営の納骨堂はありますか?

東京都でおすすめの公営の納骨堂はありますか?

専門家が答える納骨堂Q&A
吉川 美津子
終活・葬送ソーシャルワーカー
吉川 美津子

大手葬祭業者、大手仏壇・墓石販売業者勤務を経て、葬送コンサルタントとして独立。起業コンサルティングや人材育成、取材・執筆などを行っている。 近年は葬送関連事業と並行しながら社会福祉士として、また介護職として福祉・介護の現場でも活動。「生き方」「逝き方」両輪の橋渡しを模索中。

東京都の公営納骨堂を選ぶ際は、ご自身やご家族の希望、倍率、受付期間を鑑みて選びましょう。

東京には、東京都民を対象とした都立霊園(八柱のみ松戸市民可)と、八王子市、日野市、多摩市、府中市、稲城市、羽村市、青梅市、町田市民向けの市営墓地があります。

都立霊園

東京都立霊園には、「長期収蔵施設」「短期収蔵施設」「一時収蔵施設」の3種類あり、一般に募集されている納骨堂は、「長期収蔵施設」になります。

長期収蔵施設

「長期収蔵施設」があるのは多磨霊園(府中市)にある納骨堂「みたま堂」のみ。毎年1回、墓石の一般墓所と同様、6月中旬から20日間程度申し込み受付期間があり、8月に都庁で抽選が行われます。
空きが出た区画分のみの募集となりますので、毎年募集数が少なく高倍率は覚悟。ちなみに令和3年度の抽選は、28倍という激戦でした。
「みたま堂」の使用期間は原則30年で、それ以降は遺骨を引き取るか、使用料を支払って更新することになります。こちらの納骨堂は、このように最終的に遺骨の引き取りが原則となるため、承継者不在では申し込みそのものもできません。
近年、都市部で販売されている多くの納骨堂の多くは、承継者不要で契約できますが、「みたま堂」は遺骨を引き取った後どうするか、その先を考えておく必要があります。

短期収蔵施設

「短期収蔵施設」は文京区の雑司ヶ谷霊園内にあります。
こちらの「崇祖堂」内部に設置されているロッカー式の納骨堂があり、5年間限定で使用することができます。使用料は5年分で2体用の9,000円~10体用の154,000円とかなりリーズナブル。倉庫のような造りで古さも否めませんが、一時的な保管場所として立地を考えると魅力的でしょう。

「崇祖堂」については一斉募集ではなく、雑司ヶ谷霊園で独自に募集期間を設けています。令和3年は、公式サイト「雑司ヶ谷霊園からのお知らせ」にて告知がなされ、10月1日~15日に申し込み受付されました。 

一時収蔵施設

「一時収蔵施設」は、お墓に納骨するまでの間など、一時的に遺骨を預かる場所のことを指し、多磨、八柱、雑司ヶ谷の各霊園内にあります。使用期間は1年。更新すれば5年まで延長はできます、ただしお墓を探していることが前提で、1年以内にお墓を探す意志のない場合はそもそも利用ができません。

以上のように、東京都立霊園内にある納骨堂については、「長期収蔵施設」「短期収蔵施設」「一時収蔵施設」いずれも、期間を過ぎたら遺骨を引き取ることが前提になります。

東京都内の市営霊園

市営霊園については、稲城・府中墓苑組合が管理運営をしている「稲城・府中メモリアルパーク」と、羽村市営「富士見霊園」内に、ロッカー式の納壇があります。
正式には納骨堂ではなく合葬式墓地として募集。20年間は納骨壇に納めるため、事実上は納骨堂といえるでしょう。

使用期間が過ぎた後は、建物内にある合葬室に共同埋蔵するシステムなので、あえて納骨堂とせず合葬式墓地としているのだと思います。

公営霊園にある納骨堂は、使用料が比較的リーズナブルで宗旨宗派が不問です。

公営霊園内にある納骨堂は、使用料が比較的リーズナブル。宗教・宗旨・宗派不問であるため、「寺院との付き合いに抵抗がある」「夫婦・家族間で宗教・信仰が異なる」といった理由の人におすすめです。
ただし、公営の場合は申し込み条件が厳しく、「継続して〇年以上在住」「〇年以内に納骨」といった条件や、祭祀の主宰者であることを証明するための書類(会葬礼状、葬儀執行証明、法要証明)の提出も求められます。

また、条例や規則で決められていること以外は対応できなかったり、公平・中立を求められるため、特定の個人やケースだけに特例が認めらず、融通が効かないという点には注意が必要です。

納骨堂に限らず、公営霊園は事前に十分な下調べをしておきましょう。

納骨堂に限らず、納骨堂、合葬埋蔵施設(樹木葬を含む)等、すべて公営霊園(都立霊園、東京都内の市営霊園)の場合は募集時期が決まっています
募集に際しての条件も細かく、十分な下調べが必要です。

空いた場所を再募集する仕組みのため、申し込みの時点で墓所や納骨堂のロッカーの場所は選ぶことはできません。「日当たりの良い墓所がいい」「納骨堂の上部(下部)が良い」という指定はできず、特に一般墓の場合は入口からの距離や隣接墓所の状態によって環境が大きく左右します。

「都立霊園は募集数が少なく当選倍率が高い」とよく言われていますが、納骨堂はさらに倍率が高く、令和3年度の募集で多磨霊園「みたま堂」は、2体用の区画が23倍という高倍率でした。

また、新しく増設されたものではないので、過去に別の人が使用していた納骨堂(墓所)が再利用される形になります。宗教・宗旨・宗派問わず受け入れ可というのが公営のメリットではありますが、逆に「誰でもOK」というフィルターがかかっていない状態では、さまざまな信仰を持つ人が納骨堂という限られた空間の中で一緒に弔われるということでもあります。

お墓の跡継ぎがいない場合は立体埋蔵施設も検討してみては

納骨堂ではないのですが、「承継者がいない」という方には、令和3年度から募集開始した染井霊園(豊島区)にある立体埋蔵施設がおすすめです。「埋蔵」という言葉が示すとおり、墓所内にある墓石型の納骨施設で、合葬ではなく個別納骨が可能です。使用料は62,800円で管理料は必要なく、3体まで納骨可。使用期間は20年で、20年を経過すると地下カロートで共同埋蔵されることになります。これまでの都立霊園の納骨堂は遺骨が返却されることが前提でしたが、承継者がいなくても遺骨を永代にわたって管理してくれるシステムがとられています。

公営霊園の納骨堂に関するその他の悩み

公営霊園の納骨堂を購入するメリットやデメリットはありますか?

公営霊園の納骨堂を購入するメリットは、地方公共団体が運営しているため、宗旨宗派が不問で比較的費用を抑えて購入できることです。デメリットは、倍率が高いことや募集条件が細かいことです。利用資格が取り決められている場合も多く、詳しく知りたい方は、公営霊園の納骨堂について記載された記事をご覧ください。

全国の公営納骨堂を紹介|メリットや費用、申込みの流れまで解説!

公営霊園の納骨堂は、なぜこんなにも人気なのでしょうか。

公営霊園にある納骨堂が人気な理由の1つは、「寺院との付き合いが不要で檀家になる必要がない。」ことでしょう。他にも地方公共団体が運営しているため、破綻の可能性が低いこともあげられます。公営霊園でお墓を購入しようと考えている人は、公営霊園の費用や申込みについて記載した記事をご覧ください。

公営墓地が人気のワケは?費用や申込方法を民営・寺院墓地と徹底比較

悠々納骨堂 編集部
納骨堂専門メディア
悠々納骨堂 編集部

納骨堂の選び方だけでなく、納骨堂が人々の生活や未来にどのように寄り添っているのか、リアルな情報を伝えています。

公開日:
2022-08-02
更新日:
2022-07-26

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